心臓の電気的興奮の「大きさ」と「方向」を示したものを心電図と呼びます。
心電図および聴診器で聴く心臓の音(心音)は、循環器の異常を発見する上で非常に重要な要素です。
正常な心音と心電図
まず、異常を見つけるには、正常を理解していなければなりません。
心臓は次のように収縮と拡張を行い、それに伴ってP波、QRS波、T波という電気的な興奮が引き起こされます。心音は「ドッ」というI音や、「クン」というII音が聞き取れます。

図1.心臓の拍動および心音と心電図
1.心房収縮期
最初に、「心房の脱分極」であるP波が起こり心房が収縮します。これにより、心房から心室へと血流が流れ込みます。もちろん、心室に血流が流れ込んでいるので、房室弁は開いています。一方、動脈弁は閉じています。
2.等容性収縮期
次に、「心室の脱分極」を示すQRS波の後、等容性収縮期に入ります。実際に心室が収縮するまでの間、心室内の容積は変化しないことから、このように呼ばれます。容積が変わらないことからもわかるように、このとき動脈弁は閉じたまま、房室弁も閉じます。心房の収縮が終わって、房室弁が閉じるとき、「ドッ」というI音が起きます。
3.心室駆出期
心室収縮が始まり、心室内圧が動脈内圧より高くなります。その結果、房室弁は閉じたまま、動脈弁が開き、血流が駆出されます。このとき、「心室の再分極」を示すT波が起こります。また、駆出が終わり、動脈弁が閉じるとき、「クン」というII音が生じます。
4.等容性弛緩期
II音の発生と同時に始まります。心室が弛緩し、心室内圧が低下していますが、心室内圧はまだ心房内圧より高く、房室弁は閉じたままであり、動脈弁も開いていません。心室内の容積が変化しないので、等容性弛緩期と呼ばれます。
5.充満期
心房から心室へ血液が流入するステージです。心室が弛緩して拡張し、房室弁が開くことで、血流が心室に流れ込みます。
過剰心音(III音、IV音)
過剰心音は、正常なI音、II音以外に聞き取れる心音です。馬の駆け足のようなギャロップ音を指します。
III音は、II音の直後、心室が拡張し、コンプライアンスが低下した状態で発生します。この間に、心房から心室に血液が流入する音です。拡張型心筋症などで認められます。
IV音は、心房収縮により心室に駆出された血流の音です。心室の拡張障害によって起こります。肥大型心筋症などで認められます。
心雑音

図2.心雑音の種類
上図のような波形が見られたら、以下のように鑑別しましょう。
■ 収縮期雑音(駆出性雑音)
収縮期において、ダイヤモンド型に心音の波形が認められます。
左側胸部の聴診で認められた場合、大動脈弁狭窄(Aortic stenosis; AS)、肺動脈弁狭窄(Pulmonary stenosis; PS)、心房中隔欠損(Atrial septal defect; ASD)の鑑別が必要となります。また、生理的で問題がない場合もあります。
■ 収縮期雑音(全収縮期雑音・逆流性雑音)
左側胸部の聴診で認められた場合、僧帽弁閉鎖不全症(Mitral regurgitation; MR)が考えられます。右側胸部の聴診で認められた場合、三尖弁閉鎖不全症(Tricuspid regurgitation; TR)や心室中隔欠損(Ventricular septal defect; VSD)が考えられます。
■ 拡張早期雑音(拡張期逆流性雑音)
拡張早期雑音(拡張期逆流性雑音)が認められたとき、肺動脈弁逆流(Pulmonary regurgitation; PR)や大動脈弁逆流(Aortic regurgitation; AR)が考えられます。
■ 連続性雑音
II音を越えて連続的に雑音が聞こえます。連続性雑音が認められる場合、動脈管開存症(Patent ductus arteriosus; PDA)が考えられます。
それぞれの心雑音の名称と波形および鑑別疾患を挙げられるようにしましょう。特に連続性雑音については頻出です。


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